10月度チリ情勢

在チリ日本大使館より発行されたチリ経済情勢報告(2023年10月)によると、直近の情勢は以下の通り要約される。:

  • エネルギー情勢

チリでは石炭火力発電所の廃止が各社で進められている中、チリ北部にある国内最大の石炭火力発電会社がアンモニア技術で日本、韓国企業との提携を検討している。
具体的には、同社では温室効果ガス削減のため石炭と、再生可能エネルギーから製造されるグリーンアンモニアを組み合わせる技術的・経済的可能性を模索しており、同社の発電所5か所(各1 5 2 M W )・電力システムの部分的な再変換を念頭に、技術革新をテストしている日本や韓国企業と連携しているようだ。

なぜアンモニア技術が注目されているのか?

アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない、かつ石炭との混焼が容易であることから、カーボンニュートラルを目指す上で燃料として利用すべく技術開発が進められている。
種類としては、グリーンアンモニアの他に天然ガスや石炭を原料としたグレーアンモニア、天然ガスや石炭を原料として開発・製造段階で生じるCO2をCCU/カーボンリサイクルやCCSによって回収されるブルーアンモニアがある。

  • 経済情勢

9月の経済活動指数は前年同月比-0.0%、鉱業においては前年同月比6.3%を記録した。
同月の鉱業生産指数は前年同月比4.3%となり、銅生産量においては前年同月と比べ4.1%の上昇がみられた。

10月の輸出額は77.2億ドル(前年同月比-4.3%)、その内鉱業品44.4億ドル(同-9.4%、全体の57.4%)、さらにその内の銅は36.0億ドル(同-8.8%、鉱業品輸出額全体の81.2%)となった。一方10月の輸入額は67.8億ドル(前年同月比-2.8%)となり、貿易収支は9.5億ドルの黒字となった。

なお、9月度の対日、中、韓貿易額は以下の通りだ:

対日:輸出額4.1億ドル( 前年同月比-47.1% )、輸入額1.6億ドル( 同-11.0% )、貿易総額5.7億ドル( 同-40.3% )
対中:輸出額32.8億ドル( 前年同月比10.3% ) 、輸入額15.0億ドル( 同-22.3% ) 、貿易総額47.8億ドル( 同-2.5% )
対韓:輸出額3.4億ドル( 前年同月比-18.9% )、 輸入額0.9億ドル( 同-20.0% ) 、貿易総額4.3億ドル( 同-19.2% )

参考:在チリ日本大使館経済班「チリ経済情勢報告(2023年10月)」

経済産業省資源エネルギー庁「第4節 燃料アンモニアの導入拡大に向けた取組」https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/3-8-4.html