7月度チリ情勢

①鉱業情勢

8月、チリ上院鉱業委員会により、国内でUSD30億以上のリチウムプロジェクトを展開する企業からヒアリング後、リチウムの権利を認め民間企業によるリチウム開発を可能にする改革案が提示された。
また、同月チリ鉱業省は2023年5月17日に議会で承認された鉱業ロイヤリティ法がBoric大統領により制定された旨の官報を発行した。
本法は、売上の50%以上が銅で、年間5万トン以上の銅精鉱を生産する採掘業者を対象とするもので、年間銅売上高に対して1%の従価税と、営業利益率に応じて8%から26%の税率が適用される。潜在的な税負担の上限は、生産量に応じて45. 5%(年間生産量5万以上8万トン未満)から46. 5%(年間生産量8万トン以上)に設定された。但し、生産量が5万トン未満の中小企業には現行の税負担が維持される。
なお、これは2024年から施行され、その税収の一部は生産力向上のため鉱業活動に直接関係する業務を領土内に持つ州や自治体に還元される予定であるそうだ。

(チリ鉱業ロイヤリティ法について、こちらの記事もご参照ください。)

②経済情勢

6月の経済活動指数は前年同月比-1.0%、鉱業においては前年同月比1.1%を記録した。
同月の鉱業生産指数は前年同月比-0.4%となり、銅生産量においては前年同月と比べ0.9%の下落がみられた。
7月の輸出額は74.0億ドル(前年同月比-7.6%)、その内鉱業品41.3億ドル(同-9.7%、全体の55.9%)、さらにその内の銅は33.6億ドル(同-2.8%、鉱業品輸出額全体の81.3%)となった。一方7月の輸入額は65.8億ドル(前年同月比-17.0%)となり、貿易収支は8.1億ドルの黒字となった。

なお、6月度の対日、中、韓貿易額は以下の通りだ:

対日:輸出額5.9億ドル( 前年同月比31.2% )、輸入額1.7億ドル( 同-0.4% )、貿易総額7.5億ドル( 同23.3% )
対中:輸出額30.2億ドル( 前年同月比-10.5% ) 、輸入額15.8億ドル( 同-8.2% ) 、貿易総額46.0億ドル( 同-9.7% )
対韓:輸出額5.9億ドル( 前年同月比20.8% )、 輸入額1.0億ドル( 同-20.2% ) 、貿易総額6.9億ドル( 同12.2% )

参考:在チリ日本大使館経済班「チリ経済情勢報告(2023年7月)」
https://www.minsegpres.gob.cl/archivo/noticias/congreso-despacha-el-proyecto-de-royalty