4月度チリ情勢

在チリ日本大使館より発行された「チリ経済情勢報告(2023年4月)」によると、直近の情勢は以下の通り要約される。:

  • 政治情勢

同月、Boric大統領によりリチウム国家戦略が発表され、「チリ議会に対し、参加プロセスを経て、その中長期的な持続可能性も保証しつつ、リチウム公社 (Empresa Nacional del Litio、100%国有)、リチウム・塩田チリ生産開発公社委員会 (Comite Corfo del Litio y Salares)の創設に向けた法案を提出する。」と説明された。
また、同政策にて公的リチウム・塩田技術調査研究所 (Instituto Tecnológico y de Investigación Público en Litio y Salares )の創設及びアタカマ塩田のリチウム生産者として、2024年からCODELCO(チリ銅公社)を通じた国家の参画に向け取り組みが進められる。
同発表について、Boric大統領は「国家が、リチウムの全ての生産サイクルに参加することを決定した」と述べた。
但しこれをリチウムの「国有化」というのは語弊があるようで、バン・クラベレン外相は「鉱業資源の所有者は国家であるため、我々は、権利委譲のシステムを有している。さらに、全てのリチウムの探査は、このコンセプトに基づいて行われている。従って、法的ステータスに何の変更もない。」
チリ鉱業省のHernando氏は「産業を興する事が目的である」と説明した。
なお、SQM社やAlbemarle社の既存の探査活動・契約については既存の法的枠組みとあわせて完全に尊重される事とされた。
さらに、Hernando氏は「既に他の場所で電池を生産している会社や金属元素を生産している会社と提携すれば、多くの段階を省略できるのは明らか。」とコメントし、リチウムの探鉱のみならず、開発、付加価値プロジェクトの発展における官民連携の重要性を示した。

電池における当部の取り組み:

  • 経済情勢

3月の経済活動指数は前年同月比-2.1%、鉱業においては前年同月比-8.5%を記録した。
同月の鉱業生産指数は前年同月比-8.7%となり、銅生産量においては前年同月と比べ4.7%の下落がみられた。
4月の輸出額は76.1億ドル(前年同月比-3.1%)、その内鉱業品43.2億ドル(同-6.9%、全体の56.8%)、さらにその内の銅は35.4億ドル(同3.1%、鉱業品輸出額全体の82.0%)となった。一方4月の輸入額は64.6億ドル(前年同月比-17.2%)となり、貿易収支は11.5億ドルの黒字となった。

なお、3月度の対日、中、韓貿易額は以下の通りだ:

対日:輸出額5.2億ドル( 前年同月比-24.8% )、輸入額2.2億ドル( 同1.4% )、貿易総額7.4億ドル( 同-18.7% )
対中:輸出額37.1億ドル( 前年同月比24.0% ) 、輸入額14.5億ドル( 同-43.8% ) 、貿易総額49.6億ドル( 同-4.8% )
対韓:輸出額8.9億ドル( 前年同月比41.3% )、 輸入額1.0億ドル( 同-44.9% ) 、貿易総額9.9億ドル( 同21.9% )

参考:在チリ日本大使館「チリ経済情勢報告(2023年4月)」