9月度チリ情勢

在チリ日本大使館より発行されたチリ経済情勢報告(2023年9月)によると、直近の情勢は以下の通り要約される。:

  • リチウム情勢

現地紙にて、米国(ネバダ州とオレゴン州の境)で古火山由来の金属リチウム鉱床が新たに発見された旨が報じられ、世界でのリチウムへの注目が更に高まる中、リチウム競争におけるチリの立ち位置についての懸念も報じられた。
これは、2026年までリチウムが世界的に希少となると想定される中、アルゼンチン、豪州、中国と比べチリは現政権の影響もあってか生産量拡大に時間がかかってしまっているという事だ。
例えば、2026年の生産量は中国が34万4,000トン、チリが33万7,000トンと予想されており、さらに2030年にはアルゼンチンがチリを追い抜き、生産量35万トンに達すると見られている。
また、これからのリチウム市場の見通しとしては、2026年以降新たな供給が開始されることで供給過剰が予想されるが、2028年以降は需要が増加するため、供給過剰は収まると予測されている。

  • 経済情勢

8月の経済活動指数は前年同月比-0.9%、鉱業においては前年同月比1.7%を記録した。
同月の鉱業生産指数は前年同月比0.2%となり、銅生産量においては前年同月と比べ2.7%の上昇がみられた。
9月の輸出額は73.4億ドル(前年同月比-6.5%)、その内鉱業品45.3億ドル(同-1.0%、全体の61.7%)、さらにその内の銅は38.6億ドル(同6.6%、鉱業品輸出額全体の85.2%)となった。一方9月の輸入額は63.7億ドル(前年同月比-20.6%)となり、貿易収支は9.8億ドルの黒字となった。

なお、8月度の対日、中、韓貿易額は以下の通りだ:

対日:輸出額5.5億ドル( 前年同月比-14.4% )、輸入額1.8億ドル( 同7.5% )、貿易総額7.3億ドル( 同-10.0% )
対中:輸出額29.4億ドル( 前年同月比1.4% ) 、輸入額19.0億ドル( 同-15.4% ) 、貿易総額48.4億ドル( 同-5.9% )
対韓:輸出額5.9億ドル( 前年同月比13.1% )、 輸入額1.0億ドル( 同-25.9% ) 、貿易総額6.9億ドル( 同4.9% )

参考:在チリ日本大使館経済班「チリ経済情勢報告(2023年9月)」